平成十九年大相撲春場所 −十日目−(後編)


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東 方

西 方


いきなり勝負が決まった瞬間が写っているこの画像は、
時津海ー栃乃花戦です。勝ったのは時津海、私が応援していたのは
栃乃花です(笑)。行事は少し離れた位置まで下がっていますが、
しっかりと体を屈めて、力士の足元を見ていますね。

こちらは向正面の放送席を撮影した物で、この日は元小結・旭豊の、
立浪親方でした。比較的ハッキリと写っていますかね?そしてその
前の花道では、ちょうど出島が入場してきました。



実力者玉乃島です。下位に下がればしばしば大勝ちを出すのが
特徴の玉乃島ですが、最後の塩を撒いた後に、右手を拳にして
腕を『グン!』と曲げ、胸の前で止める動作も、トレードマークです。
今回、その動作の瞬間を撮影してみようと思いましたが、一瞬の
タイミングだけに、うまくはいかないものですね。(^^;

さて、土俵下に、興奮して我を失ったような顔をして登場した力士が
います。そして、観客はみんな、まともにそっちの方を見て笑ってい
ます。この力士こそ、伝説の『カッ珍(チン)』パフォーマー高見盛です。
ドスドスドス!!と、花道を『叩き走る』ようにして入場してきました。



高見盛の一番の前は、黒海ー垣添戦でした。土俵上、物言いが
付いていますが、これは垣添が攻め込むところを黒海が土俵際
投げで辛うじて残し、それに対して軍配がいったんは垣添に上がった
ものです。協議の結果、黒海の投げが有利とみて、差し違いで
黒海の勝ちとなりました。垣添、惜しい一番でした。

ハイ、お待たせしました。大人気の高見盛戦ですが、名物の
気合い入れよりも前に、先ず持って懸賞の垂れ幕が館内を
沸かせます。見事に5枚連続永谷園・・・・・。この日も爆笑でした。



正面の席に座るが故に、いつも後からしか見れない高見盛の気合い
入れですが、後からでも十分に伝わってきました。みんな、横綱土俵
入りや弓取り以上に『気合いを入れて』、「ヨイショ!ヨイショ!ヨイショ!」
と掛け声を合わせていました。さて、今日は勝てるか〜・・・・?

最後の塩を撒き、そんきょする直前の高見盛。いやそれにしても、
観客のこの歓喜ぶりはどうでしょう?これ、何も知らない人に客席
だけを見せて、「これはどういう状況でしょう?」と言えば、間違いなく
「何かのコメディー番組の時」とか答えるでしょうね。拡大版はこちら



勝ちましたぁっ!!!観客も改めてこの歓喜です。
ロボ盛仁王立ち!!一方は土俵に手を付いてしまった、
「出た出た出島」。好対照な両者の表情です。

東(左)に稀勢の里、西(右)に豊ノ島という、若手ホープ同士の
楽しみな一番。私自身、この日の取り組みの中で非常に楽しみ
な一番でした。星勘定的にも、どちらにとっても重要な一番、そして
見ている側からは、どちらにも勝ってほしいと思わせる一番でした。



いざ立ち合いです。動きに追い付けず、画像が流れてしまいました。
稀勢の里は右の上手を取ろうとしたか?そして豊ノ島は左からサッと
二本入ろうとしたか?気迫がほとばしる立ち合いでした。

実力も急接近した両者の意地と意地のぶつかり合いは、最後は
最小兵の豊ノ島が、ライバルを投げ倒して勝ちました。いきなり
番付を大きく上げての、自己最高位前頭筆頭ながら、初日から
3連勝、2大関を下して終始白星先行で、勝ち越しをものにしたのは
本当に立派でした。この地力は本物だろうなと思います。
出来れば三賞を与えてほしかったですね。



一つ前の画像で、豊ノ島を『最小兵』と表現しましたが、この安馬も、
豊ノ島と『最小兵』の座を二分する存在。両者に共通して言える事は、
小兵でありながら真っ直ぐな正攻法の相撲を取り、動きや技だけ
ではなく、組んで前に出る『力』でも勝てるという事。これはまさに、
ファンの感動を呼ぶ以外の何ものでもないでしょう。豊ノ島も早々に
三役昇進を決めましたが、この安馬も見事に三役での勝ち越しを
果たし、翌場所は関脇まで上り詰める事になりました。

四股を踏む安馬。右側対戦相手は普天王です。ブログのほうは
相変わらず賑わいを見せておりますが、相撲はやや沈滞気味
であるのが気にかかるところ。もう一度、上位での大勝ちを。



いきなり勝ち名乗りの場面になりましたが、新関脇琴奨菊です。
この力士はとにかく離れ業が得意。昨年九州場所は1勝5敗から
9連勝。今年初場所は4勝6敗から5連勝で、この場所も、1勝8敗と、
負け越して迎えた10日目、いきなり得意のガブリ寄りが出て2勝目
を挙げたと思ったら、そのまま通算6連勝して三役残留。本当に
凄い底力ですが、裏を返せば極端なスロースターターという事か?

いよいよ大関の登場です。まずは琴欧洲。大関在位8場所目。
最高は10勝5敗が3回で、すっかり影が薄くなってしまった感が
ありますが、対照的に俄然存在感が強くなってきたのが、対戦
相手の豊真将。端正な顔立ちも相まって人気は沸騰中。初場所の
初顔ではこの大関に勝っているだけに、好成績でもあったこの
場所も期待を込めて観ていました。拡大版はこちらから。



立ち合いです。相変わらずのド素人丸出しブレ画像ですが、それでも
琴欧洲の顔に、「しまった!」という表情が浮かんでいるように見て取れ
ます。実際、豊真将のほうが、低い前傾姿勢の、理想に近い当たり。
対しまして琴欧洲は、腰高で受けて立つ、立ち遅れのような角度です。
館内、この瞬間から声援のボルテージが上がりましたが、果たして・・・・。

やりました!豊真将の勝ち。大関を堂々土俵外に。そして最後、
ヒジを上げて、相手の体から身を離そうとする画像の動作が、
ともすれば、気合いの余りのダメ押しの様にさえ、見えてしまいました。
琴欧洲は無念の表情。豊真将の精悍な、「やったぞ!」という表情が
印象的でした。先場所のような、物言いがついてもおかしくなかった
かも知れない勝ち方とは違い、この場所は文句なしの完勝でした。
豊真将、その実力はいよいよ本物です。ぜひ、次期大関を。



代わる土俵は大関対決。魁皇と白鵬です。この対戦、去年の
春場所千秋楽が忘れられません。カド番で7勝7敗だった魁皇。
観客が悲鳴に近い声援を上げつつ、固唾を呑んで見守る中、魁皇が
渾身の力で、勝てば優勝王手だった白鵬を運び切り、勝ち越した
のです。基本的にポーカーフェイスの私も、さすがに生で観てジーン
ときたものでした。再び私の目の前で実現したこの顔合わせ。
今回も魁皇は苦戦。一方の白鵬は1敗でしたが、さあ果たして?

「今年は白鵬が勝つんじゃないかな?」そんな予感も持ちつつ、
観ていたこの一番は、予想的中で白鵬が勝ちました。魁皇の、
何とも諦めたような土俵の割り方が何とも気がかりな材料でした。
館内、『大ため息』が漏れていましたね。



東の土俵に戻る魁皇です。「やる気あるのかなぁ・・・・?」という
観客の声も聞こえていた中、「ハー、やれやれ・・・・」といった表情の
魁皇でした。何か、寂しげな負け方でしたけど、もうこの大関に
関しては、「勝ち越す事に価値がある」と逆に言ってしまいたく
なるような、そんな『終末的な』雰囲気を漂わせていました。

さて、こちら最古参大関の千代大海。大関在位49場所。史上1位
タイになる切符は既に手にしていたこの大関ですが、売出し中の
時天空を相手に、まともに飛んで逃げて危ない勝ち方。それがこの
大関の持ち味だと言えばそれまでですが、あまり強いイメージの
湧かない相撲内容でした。2番続けて「・・・・」な後、次の一番です。



この日、館内が最も熱くなった一番です。カド番大関の栃東。
初日から7連勝の後、2連敗中でしたが、この時点ではまさか、
この大関が深刻な病を抱えている事を知るファンはいません。
連敗はカド番脱出を意識してのプレッシャーからだと思い込み、
ひたすら、「今日こそは勝って、そして優勝争いにも残ってくれよ」
という思いでの声援を送っていました。そして私も、そんなに焦る
事もなく、大関の姿をカメラで追っていました。まさかこの翌日が
最後の土俵になるなどとは露知らず、「ま、今日うまく撮れなかった
ら、また次回でもいいや。」とか思いながら・・・・・。

そんきょする栃東(右)と、挑戦者春日王(左)。特に何も変わった
ところは見当たらない、ごく普通のそんきょに見えるこの瞬間も、
栃東は押し寄せる頭痛と闘い続けていたのでしょう。本人、内心は
カド番どころでさえ、なかったかも知れません。果たして勝敗や
いかに?拡大版画像はこちらから。



立ち合い、大関が低い角度で当たり、うまくいなして引っ掛けるように
相手を『送り出し投げ』(決まり手は上手出し投げ)。短い勝負で決着を
つけ、8度目のカド番を脱出しました。ブレて顔も分からない画像に
なっていますが、大関は「よし!」という表情。そして館内は大歓声に
包まれました。「やったぁ。勝ったぞ!」この時点で、自分たちが、
『栃東最後の勝利の目撃者になる』と予想した人は、誰もいなかった
でしょう。私もそうでした。5日後の千秋楽にも当然土俵に上がって
いると思いながら、「取り敢えず、カド番脱出の瞬間を」という気持ちで
シャッターを押したのです。勝負が決まった瞬間を写せたので、「まずは
納得のショットかな?」と、割と淡々とした表情で画像をチェックしていま
した。充実度100にしか見えなかった大関が、この2日後からよもやの
休場。そして思いもがけない病の発見の末、5月7日の引退発表−−。
今振り返ると、この一番に関しては、「本当に何という巡りあわせだった
のだろう」と思わずにはいられません。半分はマグレで撮れたような、
このピンボケの画像が、私がこの大関の最後の勝利を目撃した事を
証明する1枚になったのです。私は奇遇にも、節目の目撃者≠フ
一人となったのでした。拡大版画像はこちらから。

栃東が2敗を守ったのを受けて、初日から連敗の後、復調した
朝青龍が結びに登場しました。本当に連敗スタートを切った時は、
せっかく土俵入りを正面から撮れる席を予約したのに、このまま
休場か?と思ったものでした。私の記録欲のために土俵に上がって
くれというのは、確かに感心出来かねる態度なのでしょうが、それ
でも「場所1ヶ月以上前からの楽しみを取らないで欲しい」と願って
止みませんでした。結果は、見事に期待に応えてくれました。



朝青龍、カモにしている琴光喜との対戦。この一番、結構熱戦に
なりました。場所前からの良からぬ報道もあって(それが横綱連敗
の要因でもあったのでしょうが)、琴光喜も意地を見せて粘りました。
何としても勝ちたいんだという執念が伝わってきました。かつて、
現師匠である琴ノ若も2回勝った横綱・朝青龍。優勝経験もある
琴光喜が一度も勝てないのは、思えば不思議なものです。


番狂わせも期待しましたが、結局最後はこの場所も横綱でした。
カメラで動きを追いかけながら撮影して、ご覧の通りの写りとなり
ました。しかしながら、琴光喜もよくやりました。横綱も自分の陣地の、
かなり際近くで勝負を付けているところからして、決して
余裕があったとは、言えないのではないかと思います。
※上の画像をクリックすると、春場所千秋楽観戦記に飛びます。


 以上、大相撲平成19年春場所10日目の観戦レポでした。
 前回、昨年名古屋場所の観戦記の最後に、『来年の春場所にはきっと、白鵬は横綱何場所目かになっているでしょう。』と記していたのですが、その予想は当たりませんでした。そして、まさか結果的に、大関・栃東の現役最後の白星を見届けることになるとも、想像だにしていなかったわけです。
 実は、この日私はもう一度、栃東の姿を目撃しました。それは帰り、駐車場から車で引き上げる力士を、裏口で見ていた時です。何台ものカメラに囲まれながら、駐車場内を栃東が歩いてきました。そして報道陣の問いかけに、笑みを浮かべながら答えていました。今にして思えば、その時も頭痛の苦しみを表に出すまいとしていたのでしょう。そして、車の助手席に座って引き上げる大関も、私は見届けていました。その時はポーカーフェイスで、ファンサービスに手を振っていたのですが、あの瞬間、恐らく緊張が解けて、頭痛の自覚症状がひどくなっていたことでしょう。その様な状態で車に揺られれば、気分も悪くなっていたかも知れません。何とも胸が痛くなるような心地です。
 5月7日の引退会見を見た上でアップしたこのレポは、これまでの観戦レポとは全く違う気分でアップするものとなりました。
 不死鳥大関栃東、長い間お疲れさまでした。

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